内科クリニック成功のカギ。今から開業したい人が知っておくべきポイント【前編】

内科クリニック成功のカギ。今から開業したい人が知っておくべきポイント【前編】

内科とは、風邪や発熱、喘息、気管支炎など一般的によく起こりうる症状や疾患に対応する診療科です。多くの人にとって最も身近で利用頻度も比較的高い内科クリニック。内科を訪れたことで医師に憧れて、医療の道に進む人も少なくありません。

内科医は、患者を診てどこに異常があるのかを見極める鋭い観察眼や、会話の中で患者の状態を探るコミュニケーション力など、さまざまな能力を身に付ける必要があり、覚えることや学ぶことを多い診療科であるため、非常にやりがいがあります。また、自身の内科クリニックが開院できれば、より自分の技術を多くの患者に届けることができるようになります。

内科クリニックを開業するにあたって、初期投資、ランニングコスト、運営方針の確立など、事前の準備が重要です。また、競争が激しい市場であるため、差別化するための戦略も必要となります。

本記事では内科クリニックをこれから開業しようという人のために開業時にやるべき必須項目を紹介していきます。

>>内科クリニックの物件選びのポイントは?開業が成功するコツを解説!

>>内科クリニックの経営を強化するためのポイントを解説

内科クリニックの需要

厚生労働省の「令和4(2022)医療施設(動態)調査・病院報告の概況」によると、一般診療所の総数は105,182施設であり、2021年よりおよそ1,000施設ほど増加しました。開設・再開する診療所の数と廃止・休止する診療所の数がほぼ同じであった前年と比べて、2022年は開設された診療所の数が大きく増えたことで、人口減少が進む現在の日本では、よりクリニック市場の競争が激化することが見込めます。

集患に対する対策の無いクリニックは当然患者が減り経営が悪化しますが、差別化を図ることができるクリニックは安定した経営が可能になります。人口が減っても内科の受診を希望する人は多く、患者から信頼を得られるクリニックの運営をすれば、競合のクリニックに対抗できます。

開業するために必要な経営ポイント

内科クリニックの開業には、多くのステップを踏むことになります。開業において特に必要なやることリストは以下のようになります。

☑1.内科クリニック運営に必要な資格の取得
☑2.事業計画、運営方針の決定
☑3.資金計画
☑4.物件選び
☑5.外装・内装工事
☑6.各種手続き
☑7.青色申告の申請
☑8.社会保険の加入
☑9.集患

1.内科クリニック運営に必要な資格の取得

クリニックの開設は、医師免許が不可欠です。医師免許は、医科大学および大学の医学部などで6年間医学を学んで、医師国家試験に合格し2年以上の研修を受ける必要があります。

さらに日本内科学会認定病院の内科で、3年以上の研修を行うことで、内科専門医資格認定試験を受けることができ、それに合格すると「内科専門医」の資格が得られます。

そのほかに、クリニックの経営において、取得しておくと有利な資格として病院経営管理士医療経営士という資格があります。

参考サイト
一般社団法人日本病院会 病院経営管理士
一般社団法人日本医療経営実践協会 医療経営士

2.事業計画、運営方針の決定

内科クリニックは競合が非常に多い業界であるため、差別化できるコンセプトやターゲットを設定し、独自のアピールポイントを持って経営することが望ましいです。例えば駅の近くで開設したり、介護施設を併設していたりなど、コンセプトを設定することで運営方針は明確になり、事業計画が立てやすくなります。内科クリニックは特に、内科領域での専門を絞る単科標榜ではなく、広く内科として開業したほうが多くの患者を受け入れることができ、高い評価につながります。事業計画が明確にあると、資金調達における助成金や融資が受けやすくなるので、運営方針は早めに決定することが大切です。

>>内科クリニックは有人運営 or 無人運営?各要綱がわかると方針が決まる!

3.資金計画

内科クリニックの開業資金は、5,000万円から8,000万円と他業種や他診療科に比べると高額です。開業時は、初期段階でかかる費用だけでなく、都度かかっていくランニングコストまで考慮して、資金を用意しなくてはいけません。以下に内科クリニックにおける初期費用とランニングコストをそれぞれまとめました。

初期費用
物件・テナント費クリニックを開設したい場所にかかる費用です。医療機器やベッド、待合室、受付など、小規模のクリニックであっても、十分な大きさや幅、奥行きを必要とします。また、集患のために立地の良い場所や利用者の通いやすさを考慮すると、必然的に値段が上昇します。
医療機器各コンセプトや診療内容によって大きく変化があるものの、エックス線診断装置や心電図計など1台でも高額である場合が多いです。経営方針によっては複数台購入する必要もあり、それにあわせたインテリアなども揃えなくてはいけません。
内装・外装費医療機器・インテリアの設置、内装・外装の工事費など、クリニックの開業に関する独自の工事費が必要です。

初期費用は大きいものの、年数を重ねて回収が見込めるように、長い目で計画を立てることがおすすめです。

ランニングコスト
賃貸料賃貸物件では、毎月賃料の支払いが求められます。
医薬品など消耗品費用医薬品や医療器具の一部は、患者ごとまたは消耗によってその都度変える必要があります。またタオルなど洗濯をする際は、業者に依頼し清潔に管理しなくてはいけません。
人件費スタッフを雇用する場合、賃金の支払いが必須になります。また福利厚生などにかかる費用も考慮しておくと良いです。
システム維持費クリニックの予約や来院業務、カルテなどの患者情報の管理をシステム化する際に発生します。
その他広告費や光熱費などがあります。

ランニングコストをできるだけ抑えることで、経営の安定化が見込めます。しかし無理な抑制は、不満足な診療や利用者の離散につながるため、バランスを見極める力が求められます。

4.物件選び

内科クリニックの経営に適した物件を選択することは重要なポイントです。特に老若男女多くの利用者が予想される場合、建物の外観や周囲の雰囲気もクリニックに通えるかの印象に影響を及ぼします。

駅近の場所に施設を設けると、通勤帰りのビジネスパーソンや違うエリアからの人々が利用しやすく、新規利用者を獲得するチャンスが増えます。しかし駅周辺は、土地の価格や物件の家賃が高くなるため、その点も含めて慎重に選ばなければいけません。内科クリニックは数が多いため、住宅地や学校付近などかかりつけにしてもらえる場所が理想的です。メインターゲットやコンセプトを考慮しつつ注意深く物件を選択する必要があります。

5.外装・内装工事

資金計画、物件選びが完了したらクリニックをどのようなデザインにするかを考えます。外装はクリニックのコンセプトや雰囲気を視覚的に表現できる部分なので、ターゲットにアピールとなるようなデザインにすることが求められます。

内装についても利用者へのアピールとなるような空間づくりは欠かせませんが、清潔感の確保も大切です。特にクリニック業はクリーンなイメージが重要であるため、清潔感を出すために色使いや材料、照明などを工夫するべきです。また、掃除がしやすいようなインテリアの配置も重要なポイントになります。

6.各種手続き

内科クリニックを開院する際に、各種届出の提出や講習受講などの手続きが必要になります。

保健所
クリニックとして営業を行う際には、「開設届」の提出が必須です。クリニックが医療法人などであれば、「診療所開設許可申請書」の提出も求められます。診療内容・装置によっては、「診療所エックス線装置備届」など各診療に関する届出を提出しなければいけません。

税務署
税務署で提出するべき届出は以下のようなものがあります。

個人事業開業・廃業等届出書
青色申告承認申請書
青色事業専従者給与に関する届出書
棚卸資産の評価方法の届出書
減価償却資産の償却方法の届出書
源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書
※参考:国税庁ホームページ

防火・防災管理講習
スタッフと患者が合計で30人以上になる場合、防火管理者の資格取得が必要です。取得条件として、一般財団法人日本防火・防災協会が主催する「防火・防災管理講習」の受講が必要になります。

厚生局
保険診療を行う場合、各地方の厚生局に「保健医療機関指定申請書」の提出が求められます。こちらは、開設届が受理された後かつ提出期限が月に1回で受理におよそ1カ月ほどかかる場合があるため、開業予定日から逆算して手続きする必要があります。また健康保険を適用するために、指定医療機関コードの取得も不可欠です。

7.青色申告の申請

確定申告とは、所得を得た人が所得税を正しく納税するためにする申告であり、怠った場合、罰則や罰金が科せられます。確定申告を行うのは、毎年2月16日から3月15日で、所得税算出のほか、納税額を事前に概算し納める予定納税をした人は、納税額の過不足を確定する手続きにもなります。

個人事業主の確定申告は青色申告と白色申告から選択できます。青色申告は税制上の特別な控除を受けられ、白色申告はその適用を受けられません。何も申請しない場合は白色申告になり、青色申告をする場合は税務署に青色申告承認申請書を提出する必要があります。個人事業の場合、適用を受けたい年の3月15日まで、新規開業の場合は開業後2カ月以内に提出しなければなりません。

8.社会保険の加入

経営者自身の保険と従業員の保険、2つの異なるタイプの保険に加入する必要があります。

経営者自身の保険加入

国民健康保険日本では「国民皆保険制度」によって必ず入らなければいけない保険です。会社員・病院はその規模や業種に応じたそれぞれの健康保険に加入しており、個人での経営するとなった場合、前病院などから退社後14日以内に手続きをしなくてはいけません。
国民年金保険20歳以上60歳未満の人は、必ず加入しなければならない保険で、老年になったとき、障害状態になったときに保障される制度です。こちらも個人経営であっても加入が必須で、国民健康保険と同じく14日以内に手続きが必要です。
介護保険高齢者の介護負担を支える保険制度で、健康保険と同時に徴収されます。個人経営でも同様に徴収されるため、国民健康保険への手続きだけで問題ありません。

従業員を雇用する際の保険加入

雇用保険労働者の失業時の生活を支援し、早期再就職を促進するための保険です。ハローワークにて手続きを行います。
労災保険労働者が職場で事故に遭った時などに、治療費や保証を提供する保険です。労働基準監督署にて手続きを行います。
健康保険・厚生年金従業員を雇用した際、「健康保険・厚生年金保険新規適用届」「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」を、年金事務所に提出することが望まれます(必須ではありません)。

9.集患

先述どおり内科クリニックは、競合が非常に多いことから、誰をターゲットにするかを明確にすることが重要です。年齢層、性別、地域性などを考慮し、クリニックのコンセプトや提供する診療・サービス、価格設定などを決めます。

そして、ターゲットに合わせた広告やプロモーションによって集患をすることが1番効果的です。SNS、ホームページ、チラシなど多様な手法を組み合わせて、利用者の目に留まるようにアピールをすることが、新規利用者獲得の第一歩になります。

>>内科クリニック成功のカギ。今から開業したい人が知っておくべきポイント【後編】はこちら

>>効果的な内科クリニックの集患に向けた施策とポイントを解説

内科クリニック運営には、予約システム「RESERVA」がおすすめ!

画像引用元:RESERVA公式ホームページ

内科クリニック運営におすすめの機能が豊富な予約システムRESERVAを紹介します。
RESERVA(レゼルバ)」は導入数26万社を超え、国内シェアトップクラスの実績を誇るクラウド型予約管理システムです。RESERVAは、業界・業種問わず350種類以上の業態で利用されています。

パソコン・スマホ・タブレットに対応しており、最短3分で予約システムを作成できます。管理画面もシンプルでわかりやすいため、初めての予約システムに最適です。予約受付・患者管理をはじめとする多くの機能が無料から利用可能で、開業直後の忙しい時期でも使うことができます。

患者管理や予約業務をシステムに任せることで、クリニックの開業により多くの予算と時間を割くことができます。ぜひ利用を検討してみてください。