眼科クリニックは有人運営 or 無人運営?各要綱がわかると方針が決まる!

眼科クリニックは有人運営 or 無人運営?各要綱がわかると方針が決まる!

厚生労働省の「令和2(2020)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、2020年における日本国内の診療所に従事する眼科医は8,612人であり、内科に次いで第2位です。また、同機関の「結果の概要」の「2)診療所における標ぼうする診療科目別施設数」では、2020年の眼科施設数は8,244施設となっています。

こうしたニーズの高まりから、独立して自身の眼科クリニックの開業を考える人は多いです。しかし、大手眼科クリニックの知名度の高さや都市圏や駅近エリアでは、競合が乱立している状況です。そうした中で開業を成功させるには、入念な事前準備が必要となります。

眼科クリニックの開業の流れ、物件選びを理解したら次はスタッフの採用です。優秀なスタッフを採用することで、店舗の運営効率が上がり、経営が安定します。しかし、眼科クリニックの開業には多くの資金が必要なため、採用に予算を割けない場合も多いでしょう。費用をかけずに優秀なスタッフを採用するにはどうしたらいいのでしょうか。

本記事では、費用をかけずに優秀なスタッフを採用するポイントやコツ、やり方について解説します。

>>眼科クリニック成功のカギ。今から開業したい人が知っておくべきポイント【前編】

>>眼科クリニック成功のカギ。今から開業したい人が知っておくべきポイント【後編】

優秀な人材の特徴

ビジネスの成功は、経営戦略だけでなく、その組織に所属するスタッフの質も重要な要素です。眼科クリニックで働くスタッフの職種として、眼科医や眼科助手、医療事務などが挙げられます。もちろん、採用を決めるにあたり、職務を遂行するための専門的な資格やスキルを持っている人材であることが前提です。しかしながら、どの職種においても共通して、以下のような特徴がある人材が重宝されます。

コミュニケーション能力が高い

コミュニケーション能力が高いスタッフは利用者の満足度向上に貢献します。利用者からの問い合わせや要望に素早く、適切に対応することができるためです。受付眼科助手や医療事務スタッフには特に求められます。また、コミュニケーション能力が高いスタッフは、他のスタッフとのコミュニケーションも円滑に行えるため、チームワークの向上にも貢献します。

高い問題解決能力

問題解決能力が高い人材は、問題が発生した場合にも適切な対応ができます。開業当初は運営側も不慣れな点が多く、どうしてもトラブルが起きやすい状況であることは仕方ありません。特に眼科クリニックでは、SNSの広告での割引キャンペーンを通じた利用者の中には、キャンペーン詳細や契約条件をよく読んでおらず、トラブルが発生するケースがあります。そういった際に、問題解決能力が高いスタッフがいれば、問題の早期解決をしたり、患者の不満を未然に防いだりすることが可能です。

専門知識、経験を活かせる

眼科クリニックのスタッフに、以下のような専門知識や経験があると理想的です。

眼科医療に対する興味
眼科医療の従事者として、専門的なスキルに加え、眼科クリニック業界知識や最新のトレンドなどの眼科に対する興味関心があることが望ましいです。

眼科の関心が高い利用者との信頼関係の構築、一人ひとりに合わせた最適な提案をするために、日頃からの情報収集が求められます。

接客のスキル
患者とのコミュニケーション、問題の解決、サービス提供など、一般的な接客スキルも大切です。加えて、利用者のカウンセリングやコンタクトレンズなどの販売なども医療事務スタッフに求められます。

ビジネス管理の知識
施設の日々の運営、スタッフの管理、財務の調整など、一般的なビジネス管理についての知識があると、眼科クリニックの経営陣における負担を減らせます。

手先のきめ細やかさ
眼科手術などの繊細な処置を要する場合、器用さや細やかな作業が求められます。

これらの知識や経験を持つ人材がスタッフがいることで、患者に対するサービスの質を高めるとともに、施設の運営もスムーズに行うことができます。スキルに加えてコミュニケーション能力が高いスタッフは、自分自身のスキルや経験を他のスタッフと共有ができ、全体のスキル向上に貢献します。

柔軟性と広い視野

柔軟性のある人材は、様々な業務を臨機応変にこなすことが可能です。特に開業直後は予約や受付、診療前後のケア、清掃など複数の業務を限られた人員行うことになるため、柔軟性のあるスタッフがいると人員不足の際に、別業務を兼任できるため、運営の効率化が見込めます。

またクリニックでは、スタッフ同士の助け合いが特に必須です。良好な関係性を築くことと同時に、広い視野で自身の業務と並行して臨機応変な対応ができるスタッフがいると、より良いクリニック運営ができます。

患者志向

患者志向、つまり患者の視点で考えられる人材がいることは、クリニック評価の向上、リピート利用の増加を大きく促します。新規患者の利用増加にもつながります。

患者志向のスタッフは、患者の需要を理解し、それに対応した接遇ができることが魅力です。さらに現状の対応やクリニックにおける改善点の早期発見による、事前のトラブル阻止を可能にします。患者の視点を常に持つことで、利用者満足度だけではなく、クリニックのイメージや信頼性を高めることができます。

タフな精神力

眼科クリニックのスタッフは、接遇、幅広い業務への対応力、体力的にも精神的にもハードな職業です。ある程度のストレス耐性がある人や、プライベートで発散できるタイプであれば、クリニックのスタッフとして非常に向いている人材です。

特に小規模のクリニックや少人数で仕事を回す場合、1人ひとりの責任や負担が大きいため、プレッシャーに耐えられるタフネスさは非常に重要なポイントになります。

優秀な人材を見極めるポイント

眼科クリニックの運営に適した優秀なスタッフを見極めるためには、いくつかのポイントがあります。まずは、対面の面接で見極めることをおすすめします。

最も重要なポイントはコミュニケーション能力の高さです。優秀な人材には複数の特徴がありますが、中でもコミュニケーション能力は、トラブルが起こっても即座にカバーできたり、他のスタッフに協力を促せたりと重宝されます。自分の経験やスキル、考えを明確に伝える力があるか、一方で聞き上手であるかも重要なポイントです。

コミュニケーション能力と同時に、責任感の強さとそれに耐えられる精神力もクリニックのスタッフに向いている能力です。そういったプレッシャーに打ち勝てるタフな精神力を持ったスタッフは、周りのスタッフにとっても安心して仕事を任せることができるため、重宝されます。

仕事をする上で、基本的なマナーも重視すべきポイントです。メールのレスポンスや挨拶、お礼などのマナーが身についているかどうかは、採用時の重要な項目になります。接遇や受付、サービス業の経験がある人は、即戦力人材として期待できます。

また、患者が知りたいと思う病気や薬の正しい知識や、予約システム・管理システムなどのITシステムを操作するスキルが備わっていると、非常に役立ちます。しかし現時点で知識がなくとも、学ぶ意欲があれば十分有望な人材です。

採用するためのポイント

どのようにして優秀なスタッフを採用すればよいのでしょうか。以下に、そのための重要なポイントを紹介します。

採用目的の明確化

採用の目的を明確化すると、適切な求人情報を作成できます。目的に沿ったスキルや経験を持つ求職者を引き付ける内容を作成しやすくなるためです。さらに、採用の目的から、具体的な評価基準や面接の質問を作成できるため、選考の効率的な進行が可能になります。

採用の目的を組織のビジョンや戦略との連携で、長期的にクリニックを継続・成長させる人材を採用することもできます。

人材要件の見直し、具体化

求める人材要件を再考し、より具体的な内容にすることで、その要件に当てはまるスキルや経験を持った、適切な人材を効率的に採用できます。

優秀な人材の特徴をすべて満たした人を採用することは非常に困難で、求めるハードルが高すぎることで応募すら来ないこともあります。求める条件の中で絶対に外せないポイントを絞りながら、他は未経験可とすることで、適切な人材を集められて、候補者が応募しやすくなります。採用側の評価軸をずらすことなく、候補者に対して公平かつ一貫した評価を行うことで、求職者の想定する人材像とズレをなくして、早期離職を防ぐことも可能です。

魅力的な求人票の作成

眼科クリニックの特徴や働く環境、提供する福利厚生などについて、具体的に伝わるような求人票を作成します。求人に入れる主な内容は以下の6つです。

仕事の詳細    明確な仕事内容は求職者に安心感を与え、期待していた内容と実際の仕事のギャップをなくすことができます。適切な量の情報がないと、不信感を与えることになります。
勤務条件勤務時間、勤務日数、勤務地、月給など、具体的な勤務条件を明記します。ライフスタイルと照らし合わせることができます。シフト制かどうかも記載が必要です。
報酬給与以外にも、スタッフ研修、昇給制度など、働くことのメリットを強調することで求職者の関心を引きます。
成長の機会アルバイト、未経験OKでも、将来的なスキルアップやキャリアアップの可能性を伝えることで魅力を感じさせます。研修の有無を記載すると効果的です。
企業文化企業の理念や雰囲気を伝えることで、求職者が自分が合致するかどうかを判断できます。
応募方法応募の手順を具体的に説明し、かんたんであることを強調しましょう。手間がかかる応募プロセスだと、求職者を途中で脱落させる可能性があります。

眼科医や眼科助手、医療事務などの職種分けや業務内容などの特徴は、クリニックごとに異なります。そのため、求人の時点で明確な特徴やメリットを訴求する必要があります。

また、求人は分かりやすく、明瞭で、親しみやすい言葉で書くことが重要です。クリニックの適切なビジュアルや画像を使用すると、求人はさらに引き立つでしょう。最後に、企業の連絡先も明確に示すことを忘れないようにしましょう。

適切な報酬、労働条件、福利厚生を提供

競争力のある給与や福利厚生を提供し、クリニックの強みをアピールすることで、優秀な人材を引きつけることができます。週○日勤務OK、子育て中の方多数活躍、社会保険完備など、求職者にとって魅力的な環境の提供が可能かどうかを検討してみてください。

2023年現在、東京労働局によると東京都の最低賃金は1,113円で、株式会社カカクコム 求人ボックス給料ナビによると、2024年2月時点で、東京都のアルバイト・バイト・パートの平均時給は1,181円でした。このような平均時給も参考にしつつ、各種求人サイトで内科クリニックの募集状況をチェックし、納得のいく報酬を提示しましょう。

方向性やビジョンの共有

クリニック、または運営側の価値観、ビジョン、目標を明確に共有し、強いブランドイメージを構築します。それが自身の価値観やキャリアのゴールと一致する求職者を引き付けることで、眼科クリニックへの愛着にもつながります。

費用をかけない採用方法

眼科クリニックにスタッフを募集するには、採用サイトに求人広告を掲載するのが一般的です。しかし、開業前に採用予算が取れない場合もあります。費用をかけずに採用する方法を紹介します。

クリニックのホームページ

クリニックのWebサイトに採用情報のページを設け、求人情報を掲載する方法です。メリットとして、デザインや字数などの制限がなく、カスタマイズ性が高いことが挙げられます。つまり、先輩の声や職種紹介などのアピールしたいメッセージを魅力的に届けることが可能です。

また、求人情報は定期的に更新し、応募方法をシンプルにすることが重要です。スタッフ採用のみならず、集患にも有効であるため、Webサイトがない、作成を検討していないという場合でも、できる限り作成することがおすすめです。

クリニックのWebサイトに求人を出していると、Google検索エンジンの機能の一つである「Googleしごと検索」に無料で情報を掲載してもらうチャンスが得られます。少しテクニックが必要ですが、検索エンジンで求人を検索している求職者を取り込むことが可能です。

SNS

Facebook、X(旧Twitter)、InstagramなどのSNSを活用して、求人情報を投稿します。最近では、SNS経由で就職先が決定したという事例も珍しくありません。業務中の様子、クリニックの雰囲気などを写真や動画、文章でリアルタイムに発信することが可能です。受け手側は、働いたときのイメージが形成しやすく、実際に働いたときとの齟齬を少なくできます。また、フォロワーや友人・知人に拡散してもらうことで、さらに広範囲の求職者にアピールする手段になります。

スタッフの紹介(リファラル採用)

既存のスタッフがいる場合、知人や友人を紹介してもらう制度を設けます。紹介された人が採用された場合には、インセンティブや休暇など、何らかの報酬を提供すると良いです。推薦する人が候補者の能力や性格を理解しているため、リファラル採用は新たなスタッフの品質担保に役立ちます。

地元のハローワークや就職センター

地元のハローワークや大学・専門学校の生協、就職センターなどと連携し、求人掲載してもらう選択肢もあります。民間の求人媒体とは異なり、無料で求人を載せることが可能です。掲載後すぐに応募がくる保障はないため、急いで採用したい場合には不向きですが、求職者との接点を増やすための手段の一つとして検討してみると良いです。

オンライン・オフラインのネットワーキング

採用イベントに参加したり、業界のオンラインコミュニティに顔を出したりすると、求職者を見つける機会が増えます。また、他クリニックの求人方法を知ることができたり、つながりを得た方から人の紹介してもらったりすることも期待できます。

まとめ

今回は、眼科クリニック運営で費用をかけずに優秀なスタッフを採用する方法について解説しました。

眼科クリニック運営では優秀なスタッフの採用が成功のカギです。そのためには、眼科クリニックが求める人材像や採用目的を明確にし、正しい基準で人材を評価・選択することが重要になります。計画的な採用プロセスや、多角的な評価、候補者の本質的な能力やポテンシャルを見抜くことが求められます。

また、求人の作成は、勤務条件や職務内容などを具体的に記載して、働くメリットを明確に伝えることが重要です。オンラインとオフラインの双方から情報を発信することが求められます。こうしたアプローチで、能力と適性を兼ね備えた優秀なスタッフは長期的な成功に貢献し、快適な内科クリニック運営が実現します。

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画像引用元:RESERVA公式ホームページ

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