眼科クリニック成功のカギ。今から開業したい人が知っておくべきポイント【前編】

眼科クリニック成功のカギ。今から開業したい人が知っておくべきポイント【前編】

視覚は、人が周囲の世界を理解し、反応するために必要な感覚の一つです。一般的に、五感による視覚から得られる情報量は80%を超えるといわれています。しかし、現代を生きている人々は、ディスプレイ端末の長時間の使用などで、大切な眼を酷使して、眼に異常を抱えてしまう人が多いです。そのため、効果的に患者の眼の治療を行える眼科クリニックが、現代人の健康を保つ機関として、多くの人に求められています。

眼は非常に小さな臓器ですが、複雑な構造をしていているため、手術だけでなく処置の種類もさまざまです。そのため、自身のやりたい方法で眼の治療に取り組みたいと、眼科クリニックの開業を検討している人も少なくありません。

しかし開業にあたっては、初期投資、ランニングコスト、運営方針の確立などの準備を行うことが重要です。また、競争が激しい市場であるため、差別化するための戦略も必要となります。

本記事では眼科クリニックをこれから開業しようという人のために開業時にやるべき必須項目を紹介していきます。

>>眼科クリニックは有人運営 or 無人運営?各要綱がわかると方針が決まる!

>>眼科クリニックの経営戦略|策定の手順から意識するポイントまで詳しく解説!

眼科クリニックの需要

厚生労働省の「令和2(2020)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況」によると、眼科診療所の数は2011年の8,239施設から、2020年の8,244施設と変化量が少なく、眼科診療所の需要で推移しています。

しかし、数年間需要が一定であった眼科クリニックは、今後ニーズが増大すると予想されます。また、人々がディスプレイ端末を長時間使用する機会が増加したことにより、この先ドライアイや近視の症状を患う人が増えると予測されています。その上、目の中に小さなレンズを挿入するICL(眼内コンタクトレンズ)やレーシックも徐々に普及してきているため、そういった新しい技術に対応できる眼科クリニックが、これからは特に求められています。

開業するために必要な経営ポイント

眼科クリニックの開業には、多くのステップを踏むことになります。開業において特に必要なやることリストは以下のようになります。

☑1.眼科クリニック運営に必要な資格の取得
☑2.事業計画、運営方針の決定
☑3.資金計画
☑4.物件選び
☑5.外装・内装工事
☑6.各種手続き
☑7.青色申告の申請
☑8.社会保険の加入
☑9.集患

1.眼科クリニック運営に必要な資格の取得

クリニックの運営は、医師免許の取得が不可欠です。開設そのものに資格は必要ないですが、クリニックの管理者である院長に、医師免許のある人を配置しなければなりません。医師免許は、医科大学および大学の医学部などで6年制の医学部で学び、医師国家試験に合格し、2年以上の研修を受ける必要があります。

さらに日本眼科学会が定めた条件である、5年間の臨床経験と医学論文が最低1篇、学会発表の経験がある、などをクリアすることで、「眼科専門医」になることが可能です。

そのほかに、クリニックの経営における取得しておくと有利な資格として、病院経営管理士医療経営士といった資格があります。

参考サイト
一般社団法人日本病院会 病院経営管理士
一般社団法人日本医療経営実践協会 医療経営士

2.事業計画、運営方針の決定

眼科クリニックは競合が多い業界であるため、差別化できるコンセプトやターゲットを設定することが求められています。具体的には、駅の近くでの開設や特定の眼疾患や手術への特化、高齢者施設との連携など、独自のアピールポイントを持った経営が望ましいです。

事業計画が明確にあると、資金調達における助成金や融資が受けやすくなるため、運営方針は早めに決定しておくことをお勧めします。

3.資金計画

眼科クリニックの開業資金は、6,000万円から8,000万円と他業種や他診療科に比べると高額です。また、初期段階でかかる費用だけでなく、クリニックの設備維持費などにかかる、ランニングコストも考慮して、資金を用意しなくてはいけません。

以下に眼科クリニックにおける初期費用とランニングコストをそれぞれまとめました。

初期費用
テナント費テナント費は、クリニックを開設したい場所にかかる費用です。医療機器やベッド、待合室、受付など、小規模のクリニックであっても、十分な大きさや幅、奥行きを必要とします。また、集患のために立地の良い場所や利用者の通いやすさを考慮すると、必然的に値段が上昇します。
医療機器医療機器にかかる費用は各コンセプトや診療内容によって変動があるものの、検眼鏡など眼科クリニックに必要な医療機器は1台でも高額である場合が多いです。経営方針によっては複数台購入する必要もあり、それに合わせてインテリアなども揃えなくてはいけません。
内装・外装費医療機器・インテリアの設置、内装・外装の工事費など、クリニックの開業に関する独自の工事費が必要です。

初期費用は大きいものの、年数を重ねて回収が見込めるように、長い目で計画を立てることがおすすめです。

ランニングコスト
賃貸料賃貸物件では、毎月賃料の支払いが求められます。
医薬品など消耗品費用医薬品や医療器具の一部は、患者ごとまたは消耗によってその都度変える必要があります。またタオルなど洗濯をする際は、業者に依頼し清潔に管理しなくてはいけません。
人件費スタッフを雇用する場合、賃金の支払いが必須になります。また福利厚生などにかかる費用も考慮しておくと良いです。
システム維持費クリニックの予約や来院業務、カルテなどの患者情報の管理をシステム化する際に発生します。

ランニングコストをできるだけ抑えることで、経営の安定化が見込めます。しかし無理な抑制は、利用者の離散につながるため、コストとサービスのバランスを見極める力が求められます。

4.物件選び

眼科クリニックの経営に適した物件を選択することは重要なポイントです。特に老若男女多くの利用者が予想される場合、建物の外観や周囲の雰囲気もクリニックに通えるかの印象に影響を及ぼします。

駅近の場所に施設を設けると、通勤帰りのビジネスパーソンや違うエリアからの人々が利用しやすく、新規利用者を獲得するチャンスが増えます。ただし、駅周辺は、土地の価格や物件の家賃が高くなるため、慎重に選ばなければいけません。

日本国内にある眼科クリニック数は多いため、住宅地や学校付近などかかりつけにしてもらえる場所が理想的です。メインターゲットやコンセプトを考慮しつつ注意深く物件を選択する必要があります。

>>眼科クリニックの物件選びのポイントは?開業が成功するコツを解説!

5.外装・内装工事

資金計画、物件選びが完了したらクリニックをどのようなデザインにするかを考えます。外装はクリニックのコンセプトや雰囲気を視覚的に表現できる部分であり、ターゲットにへのアピールとなるようなデザインが集患に効果的です。

内装についても利用者へのアピールとなるような空間づくりは欠かせませんが、清潔感の確保も大切です。特にクリニック業はクリーンなイメージが重要であるため、清潔感を出すために色使いや材料、照明などがもとめられます。また、掃除がしやすいようなインテリアの配置も大切なポイントです。

6.各種手続き

眼科クリニックを開業する際に、各種届出の提出や講習受講などの手続きが必要になります。

保健所
クリニックとして営業を行う際には、「開設届」の提出が必須です。クリニックが医療法人などであれば、「診療所開設許可申請書」の提出も求められます。また、コンタクトレンズ等の「高度管理医療機器」や「特定保守管理医療機器」の販売や貸与業を行う際にも届け出を提出しなければなりません。

税務署
税務署で提出するべき届出は以下のようなものがあります。

個人事業開業・廃業等届出書
青色申告承認申請書
青色事業専従者給与に関する届出書
棚卸資産の評価方法の届出書
減価償却資産の償却方法の届出書
源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書
※参考:国税庁ホームページ

防火・防災管理講習
スタッフと患者が合計で30人以上になる場合、防火管理者の資格取得が必要です。これは一般財団法人日本防火・防災協会が主催する「防火・防災管理講習」の受講が必要になります。

厚生局
保険診療を行う場合、各地方の厚生局に「保健医療機関指定申請書」の提出が求められます。こちらは、開設届が受理された後かつ提出期限が月に1回で受理におよそ1カ月ほどかかる場合があるため、開業予定日から逆算して手続きすることが求められます。

また、健康保険を適用するために、指定医療機関コードの取得も必要です。

7.青色申告の申請

確定申告とは、所得を得た人が所得税を正しく納税するためにする申告であり、怠った場合罰則や罰金が科せられます。確定申告期間は、毎年2月16日から3月15日までで、所得税算出のほか、納税額を事前に概算し納める予定納税をした人は、納税額の過不足を確定する手続きにもなります。

個人事業主の確定申告は青色申告と白色申告から選択できます。青色申告は税制上の特別な控除を受けられ、白色申告はその適用を受けられません。何も申請しない場合は白色申告になり、青色申告をする場合は税務署に青色申告承認申請書を提出する必要があります。個人事業の場合、適用を受けたい年の3月15日まで、新規開業の場合は開業後2カ月以内に提出しなければなりません。

8.社会保険の加入

経営者自身の保険と従業員の保険、2つの異なるタイプの保険に加入する必要があります。

経営者自身の保険加入

民健康保険日本では「国民皆保険制度」によって必ず入らなければいけない保険です。会社員は会社の規模や業種に応じた別の健康保険に加入しており、個人で経営するとなった場合、前病院などから退社後14日以内に手続きをしなくてはいけません。
国民年金保険20歳以上60歳未満の人は、必ず加入しなければならない保険で、老年になったとき、障害状態になったときに保障される制度です。こちらも個人経営であっても加入が必須で、国民健康保険と同じく14日以内に手続きが必要です。
介護保険高齢者の介護負担を支える保険制度で、健康保険と同時に徴収されます。個人経営でも同様に徴収されるため、国民健康保険への手続きだけで問題ありません。

従業員を雇用する際の保険加入

雇用保険労働者の失業時の生活を支援し、早期再就職を促進するための保険です。ハローワークにて手続きを行います。
労災保険労働者が職場で事故に遭った時などに、治療費や保証を提供する保険です。労働基準監督署にて手続きを行います。
健康保険・厚生年金従業員を雇用した際、「健康保険・厚生年金保険新規適用届」「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」を、年金事務所に提出することが望まれます(必須ではありません)。

9.集患

先述した通り、眼科クリニックはの競合が多いことから、誰をターゲットにするかを明確にすることが重要です。年齢層、性別、地域性などを考慮し、クリニックのコンセプトや提供する診療・サービス、価格設定などを決めます。

そして、ターゲットに合わせた広告やプロモーションによって集患をすることが非常に効果的です。SNS、ホームページ、チラシなど多様な手法を組み合わせて、利用者の目に留まるようにアピールをすることが、新規利用者獲得の第一歩になります。

>>眼科クリニック成功のカギ。今から開業したい人が知っておくべきポイント【後編】はこちら

>>眼科クリニックにおける集患施策の秘訣

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